天正16年(1588年)に示寂なされた、當山十世 用山正受大和尚の代に伝わる因縁話がある。
ある夜、正受方丈が眠っていると、夢枕に市杵島姫命が現れ、「安芸の宮島が火事です。」と言って消えた。
正受方丈は禅堂の修行僧達を叩き起こし、龍雲寺紋入りの高張提灯を掲げて、参道入口にある雲包岩の巨石に手桶で水をかけさせた。
修行僧達は驚きながらも一所懸命に水をかけていると、しばらくして方丈が「火事は治まった、みんなご苦労であった。近日中に厳島から便りがあろう。」と言って引き揚げた。
翌日、厳島神社の使者が参上し、「龍雲寺紋入りの提灯を掲げた大船がきて、僧侶が大勢で消火してくださったおかげで神社の火災が鎮まりました。」と言って、蓮糸の御袈裟を一肩と大額一面を献上されたという。
この時に献上された御袈裟は今でも大切に保管されている。